映画『Maelstrom マエルストロム』公式サイト
映画『Maelstrom マエルストロム』公式サイト

Trailer予告編

Storyあらすじ

2002年6月のはじめ、NYにある美大を卒業し、
あと一年間滞在予定だった留学生が銀行に向かう途中、交通事故に遭う。
突然、それまでの日常を失い、それまでの時間が存在しない場に戻った時、
何がその人らしさを繋ぎ止めるのか ——。
当事者になった“私”は、大混乱(マエルストロム)の中、
変わってしまった日常の記録を始める。
事故前の自分と繋がり直し、探している場所に辿り着けることを祈りながら。

Profileプロフィール

監督・撮影・編集・ナレーション:山岡瑞子(やまおかみずこ)

映画作家/アーティスト

 1998年渡米。2002年Pratt Institute(NY)卒業直後、事故に遭い帰国。中途障害者・帰国者の立場からの制作方法を模索する。2016年、バルセロナで初短編ドキュメンタリー制作。BankART AIR 2021への参加を経て、22年初長編ドキュメンタリー映画『Maelstromマエルストロム』完成。ピッツバーグ大学 Japan Documentary Film Award2022受賞。第23回ニッポン・コネクション他、オーストリア・ウィーンで開催されたJapannual 2023など、国内外の映画祭で上映され、23年12月に横浜で先行上映。第97回キネマ旬報文化映画ベスト・テン第5位選出。2023年度ACYアーティスト・フェロー。

https://mizuko-yamaoka.amebaownd.com

Comment

答えのない試行錯誤と葛藤の渦に脚を取られ、溺れていた−−見失った自分と繋がり直し、どこかにあるはずの陸に這い上がることを祈りながら、執筆・編集を続けた5年半でした。この個人的で小さな自主映画が、国内外の映画祭での上映/受賞、劇場公開、2023年キネマ旬報ベスト・テン文化映画部門5位と進めたことに、深く感謝しています。未来を探る一人の女性のモノローグが、観る人の何かの気付きに繋がれば、誠に幸いです。

音楽:オシダアヤ

ミュージシャン

 ガールズデュオStoned Green Applesのギターボーカルとして活動、2008年にCrue-L Recordsより2枚のミニアルバムと、当時ゆらゆら帝国の坂本慎太郎、同レーベル主宰の瀧見憲司、両者による2曲のリミックスアナログ12インチをシングルカット。翌年自身の出産を機にバンドの無期限活動停止を発表。 2018年よりソロとしてOSHIDAÀYA名義で1枚の12インチアルバム、2本のカセットテープ、サブスクリプションなどで楽曲をリリースしている。

Comment

 「さっき歌ってた曲を私の映画に使わせて下さい!」とライブの後で声をかけていただいたのが山岡さんとの出会いでした。当時私は出産を機にバンド活動を休止し育児に専念するも、やっぱり音楽がやりたくて一人でライブを始めた頃で、びっくりしたけど嬉しかったのを覚えてます。如何なる状況下でも表現し続けようとする彼女の意志に胸が熱くなりました。「軸を自分自身と表現することに戻していかないと、ゆっくりと私が死んでゆくだろう。」と山岡さんが語るところで、毎回私は大きく頷きながら涙ぐみます。感銘と共鳴が波のように押し寄せ、気づくと自分も大渦に巻かれているような凄い映画だなと思います!

Commentsコメント

『Maelstrom』が観る者を圧倒するのは、監督の山岡瑞子が、自分にとって痛切極まりない、身を切られるような問題を真摯に描いているからにほかならない。
ただし山岡の場合、作家として何かテーマを探していて、そういう痛切な題材に巡り合ったというわけではない。それは突然、自身の身に降りかかった。脊髄損傷という大怪我をするという事故が。
そして山岡は、事故からかなりの年月が経ってから、自分が生きてきた激烈な時間、maelstrom(大渦巻き)を作品に昇華させることを選んだ。いや、選んだというよりは、そうせざるをえない強い内的衝動に駆られたのであろう。
その内容は徹底的に個人的、パーソナルである。しかしパーソナルな井戸をひたすら深く掘っていくと、しばしば普遍の水脈にたどり着くものだ。
『Maelstrom』では、それが起きている。

— 想田和弘(映画作家)

大きな渦にのみこまれた表現者が最も個人的なテーマに挑み、もがき苦しみながら撮りあげた唯一無二の映画。自分とは、人間とは、人生とは。ひたすら真摯に考え続ける表現者は、街に出て、人に会う。その姿に圧倒され、自分だったらどう生きるかと考えずにはいられない。

— 早川千絵(映画監督)

「私」にしか見えていない世界を「誰か」の世界にフィードバックすること。それが表現の持つ特別な力だと思っています。『Maelstrom』は、まさに山岡監督の見てきた景色、答えのない葛藤と向き合うその時間を丹念に捉え、私たちへと開放してくれました。
ドキュメンタリーにしか作りえない一瞬一瞬に目が離せませんでした。完成、おめでとうございます。

— 深田晃司(映画監督)

人はここまで自分と向き合えるものだろうか。膨大な内省の記録であり、問いかけと逡巡と諦観と希望が込められた、人生を振り返る旅。プライベートな日記が他者の心を動かす域に昇華されている様に、ただただ圧倒された。

— 矢田部吉彦(前東京国際映画祭ディレクター)

ポジティブでいるようにと言われても、人は立ち直れない。映画「Maelstrom マエルストロム」の希望は、制御不能になった自分との親密な対話を続けることにある。喪失感、後悔、哀しみ、迷いといった難しい感情と向き合い、自分の未来と社会を少しづつ変化させていく。

— 藤井光(美術家)

好きだな・・・よくワカッテナイ自分自身を巡って まんま、放り投げるように綴った映画。日々を見つめ続けた創り手の眼差しが鏡となり、観ている一人ひとりをも写し出す。生きるとは「Maelstrom(大渦巻き)」・・・悪くない。

— 伊勢真一(映画監督)

ひとりのアーティストが、社会への異和や事故による「大渦巻」に翻弄される過程を静かに語り、事故以前の自分へ再帰は、芸術表現と創造であると確信してゆく。生の道筋は、枝分かれしているのではなく、渦のように流動し重なり合う。「私の想い出話」を超えた、勁さと美しさに満ちた映像。

— 関 和明(建築史家・ 建築家)

ニューヨークで事故に遭い障害を負った女性が、大混乱の渦中で悶え、足掻き、懊悩の果てにたどり着いたのは、己の全てをさらけ出す映画を作ることだった。絶望の果てからの生還を記録した本作は、表現を志す多くの者を静かに鼓舞するだろう。

— 高橋慎一(「THE FOOLS愚か者たちの歌」監督)

見る前は少し心配していた。あまりに伝えたいことが多く、その重量も熱量も半端じゃないから。でも杞憂だった。拍子抜けするくらいに素直に、淡々と語られていた。これなら安心して薦められる。今度はもっと暴れてもいい。

— 村田 真(美術ジャーナリスト/画家)

映像が網膜に差し込んでくる、混乱と不安の中にある希望と未来。山岡監督本人によるナレーションの、やわらかな声が心地よく、レム睡眠の夢のように記憶の中に溶け込んでくる。アートの可能性と彼女の生き様で綴った超真実。

— 三枝聡(美術家)

生きることは何かを表現すること、表現するためには生きること。山岡瑞子監督自身に起こったマエルストロム=大混乱を、自らが撮った映像とモノローグで綴った本作を見て、そんんなことを思った。傑作。

— 本田孝義(映画監督)

「Maelstrom」は、大混乱という意味。「中途障害者」となった監督自身の体感の連続は、渦のように観客を引きずり込む。命懸けの本作は「感動作」として消費されることを拒絶する。命が再び輝きはじめるまでの自問自答は、芸術へと昇華した。美しいと思った。

— 土屋トカチ(映画監督)

本作は、車椅子生活を送りながら自立を決意した女性の可能性を、美しくコラージュした実話映画。自由が制限されがちな日本社会で、壊滅的な喪失感を乗り越え、創造を通して自己価値を再発見する、人間味あふれる物語である。

— キャレン・セバンズ(フィルム・キュレーター)

20年の歳月を経て、山岡瑞子監督は再び芸術の世界に戻ってきた。『Maelstrom』は個人の記録映画でありながら、痛みを超えて生きることの意味を、私たち一人一人に強く問いかけてくる。混乱を極めた現代、人間として存在することの価値に気づかせてくれる作品。応援しています。

— 宮森敬子(美術作家)

どんなに大きな渦に巻き込まれ、どんなに酷い大混乱に陥ろうとも、生きることは美しい。そんな後味を残してくれる、独創的な作品です。
人生、マエルストロムだけど、たぶん大丈夫。俺も、ちゃんと、美しく生きたい。

— 土屋豊(映画監督)

生きるということは、常に混乱することだ。
山岡さんの人生を追体験しながら、自分の人生を振り返り、そのことを改めて突きつけられた。
矛盾を抱え、不自由と自由の狭間で我々は生きている。

山岡さんと初めてお会いした時、私の作品と私に対しての怒りをストレートに伝えてくれた。
本気で観ていただいたことがわかった。
私も本気で作っていたので、なんだか嬉しかった。

そのクリエイティブなものへの愛憎、そして家族への愛憎を、一人の女性、一人のアーティストの生き様という視点で描かれた本作は、複雑かつ多様な要素を持ちながら、巧みな構成で軸がぶれず、最後まで観るものを圧倒する唯一無二の傑作だった。
山岡さんの次回作が今から楽しみだ。

— 佐々木誠(映画監督)

人生にはIFはない。彼女が不運にも事故に遭ってしまったことには、なんの必然も美談もなく、その厳しすぎる現実を前に、彼女は決して納得もせず、何度も後悔しながら、自己と記憶にメスを入れ続ける。そこに炙り出されるのは、山岡さんが自らを顧みることで浮かび上がる家族であり、日本社会であり、時代でもあった。彼女と完全に同世代の私は、彼女の繊細な強靭さに圧倒された。フランクフルトの暑く息苦しい映画館で上映が終わった後、わたしはしばし立ち上がることができないほどの衝撃を受けていた。人生にIFはない。そのことを受け入れるのではなく、そのことと共にただ生きねばならないことを生きている人にしかできない凄まじい表現がそこにあった。

— 相馬千秋(アートプロデューサー)

女であること、車椅子使用者であることの奥に、存在することの痛みが一人称で語られる。見る側は、語られていない部分の重さを共有し、もう一人の自分を見出す。自分はどのように成り立っているのか、自分自身であることをまっすぐに続けるのはどうして困難なのか、世界と自分はどうして違和なのか、問い続けることの勇気がそこにある。

— ヤリタミサコ(詩人)

「娘」という役割からの解放と、夢を求めて漕いだ舟が、再び元の場所へとたどり着いてしまった、誰も予期しない現実。嵐の渦から抜け出すために山岡さんが行ったのは、ひたすらに「私」を見つめ、映画という媒体で自分をひらいていくことだった。パーソナルだったものは、社会へ、そして観客の記憶へと接続していく。
私は山岡さんの漕ぐ舟に揺られながら、自分の人生や、母との関係をふりかえって、涙が出た。そして、「自立とはなんだろう」と、自分自身に問いかけた。

— 坂本夏海(アーティスト)

今自分が当たり前だと思っている現実は、やがては消えてしまうかも知れない。
そんな世界に誰もが生きている。
本作は山岡監督個人の物語だが、そんな普遍的な広がりを持ち得ている。

— 諏訪敦彦(映画監督)

本作の完成までにどれだけの渦に巻き込まれ、混乱にさらされたことだろう。淡々と語られるモノローグに挟み込まれた肉声が、それを物語る。そのどちらも、山岡監督が向かい合ってきた/いるリアルに他ならない。
混乱と絶望にあっても、氏は一度たりと未来への希求を止めない。
「脚が動かせなくなっただけのことで、なにもかもできなくなっていいわけがない」
そのシンプルな一念が、人と社会とのつながりを、自分自身と表現者であることを、氏に取り戻させる。
氏が手放したもの、手放したことで氏が見いだしたもの。大渦のあいまにたゆたう水面の煌めきと選び抜かれたモノローグの言葉を胸に、わたしはわたしのリスタートに向かう。何度も。何度でも。

— 大谷いづみ(立命館大学教授・生存学研究所所長)

「こんなはずじゃなかったのにーー」
声にならない叫び、回し続けたカメラに映るむきだしの世界に、何度も胸が痛かった。
ままならない人生、激動の渦。それでも自分を受け止めてくれた波止場があったことに気づいたとき、監督は自ら船をつくりはじめた。失われたものを拾いあつめ、ふたたび未来へと運ぶために。
人がひとり生きることのすさまじさ! 静かなモノローグに耳を傾け、いつの間にかわたしもその船の上、どこまでもまっすぐな「わたし」の記憶に揺さぶられっぱなしでした。

— きくちゆみこ(文筆・翻訳家)

逡巡の末、様々な足枷に抗って、山岡さんはなりたい自分になれる場所に踏み出します。
他者から与えられる「娘」や「障害者」という枠の中ではなく、自ら選び取った道の上で生きること。それは、いつでも、どんな境遇にあっても、望んでいいし、叶えていい。
ケアする/される立場にある私は、そうした光景から、自身の力が湧くのを感じました。
過去の自分に再接続されたと山岡さんは言うけれど、再び繋がるまでの時間の中で、幾度もの始まりと終わりを超えて、彼女が取り結ぶ人々との関係性は大きく組み替えられています。自立して生きるということは、誰の手も借りず一人で立つことを意味するのではなく、誰かとのつながりを結び続けることなのではないでしょうか。

— 齋藤梨津子(研究者/養育里親)

人は誰でも孤独な惑星だ。自転し公転していく。。自身に向けられた冷徹なコンセプチュアルなカメラは、まるで他人の半生を正確に映し散ってコピーしていくようだ。 NYの学生時代に山岡監督の制作した作品のように、折り重なった裏返しのフレームで切り取られた世界こそ反転された「作品」だ。
世界をどう切り取り、補助線を引き、直視するか。
これは山岡監督の人生でもあり、我々の物語でもある。

— ヴィヴィアン佐藤(美術家/ドラァグクイーン)

Theater上映情報

都道府県 上映会場 電話番号 公開日 備考
東京都 アップリンク吉祥寺 0422-66-5042 2024年5月10日(金)

Newsお知らせ

■ DICE+にて、インタビュー記事が掲載されました。(2024/05/10)

https://diceplus.online/news/127

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■ アップリンク吉祥寺/ アフタートーク回のお知らせ

5/10(金) 19:55~上映回 ゲスト:佐々木誠(映画監督)
5/11
(土) 15:40~上映回 ゲスト:安齋肇(イラストレーター/アートディレクター/ソラミミスト)
5/12
(日) 15:40~上映回 ゲスト:諏訪敦彦(映画監督)
5/15
(水) 18:10~上映回     ゲスト:ヤリタミサコ(詩人)+きくちゆみこ(文筆・翻訳家)   

5/18(土) 18:15〜上映回 ゲスト:オシダアヤ(ミュージシャン)ミニライブ
5/19
(日) 18:40〜上映回 ゲスト:土屋豊(映画監督)+土屋トカチ(映画監督)
5/20
(月) 18:00〜上映回 ゲスト:ヴィヴィアン佐藤(美術家/ドラァグクイーン)
5/22
(水) 18:00〜上映回 ゲスト:夏目深雪(映画批評家/編集者)
5/23
(木) 18:00〜上映回    ゲスト:ヤリタミサコ(詩人)【最終日】

※上映スケジュールなどの詳細は、こちらでご確認下さい(uplink公式サイト)→https://joji.uplink.co.jp/movie/2024/21549

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■ Cinemarcheにて、インタビュー記事が掲載されました。(2024/05/06)

https://cinemarche.net/interview/yamaokamizuko/

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横浜商業高校にて、映画『Maelstromマエルストロム』での学内上映を行いました。(2024/04/10)


 

自主上映について

上映についてのお問い合わせはこちら
info@mapinc.jp